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49番目のあなた【D.Gray-man】

第16章  覚えておいて




「だってすみれが幸せそうだと、リナリーも科学班の奴らも幸せそうさ」

「――っ」


ラビの予想外の言葉に胸が詰まり、何も言えない。



「だから、その逆も然り。…すみれが辛そうだと、みんなも辛そうさ。

だから、皆のために幸せになるんさ」


「覚えておいて」と言うラビの翡翠色の瞳は私を映し、目を細めて微笑んだ。そして「忘れんなよ!」と照れ隠しでいつもの調子でニッと笑って見せた。

ラビの目を見て、ダグの言葉を思い出す。



―――――――“笑ってない、笑顔”

――――――“ガラス玉の、目”。












(…ちがう。違うよ、ダグ)


ラビは、ちゃんと笑ってる。
全然、ガラス玉の目なんかじゃないよ。


翡翠色の瞳だからかなあ。綺麗すぎて作り物みたい。だけど、ガラスのような冷たさや、割れた破片のような刺々しさなんて無い。

むしろ、ガラスをも溶かしてしまうような、熱さ…熱意が秘められている。
なのに、凄く優しくて――――胸がいっぱいになって、泣きたくなる。

切なくて、苦しくなる。






「――じゃあ、ラビも忘れないで」

「何を?」

「今の、笑い方。目を細めたり、瞑ったりする笑い方」

「は…?」


ラビはひどくキョトンとしている。
そうだよね。突然こんな事言われて、変な奴だなって、コイツ何言ってるのって、なるよね。

不審がられると思いつつも、口を止める事が出来ない。




「今日、というか。黒の教団に来てから、笑い方が柔らかくなったよ」

「…」

「覚えておいてね」

「…あぁ、そうさね」






どうか、忘れないで

覚えておいて

























(―――――俺は、)


(今、どんな顔して笑っている?)




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