第16章 覚えておいて
「ねぇ、すみれも今日は非番なんでしょ?」
「そうだよ」
「私もなの!
…すみれ、私と街で買い物しないっ?」
突然、リナリーからのお誘いを受けてしまった。
「うん、もちろん!」
「オレも行きたいさ〜っ!」
ぴょこんとラビが二人の会話に飛び込んで来た。
「ユウも行かねぇ?」と誘っていたが「誰が行くか!」と一蹴されていた。
リナリー、ラビ、すみれの3人で街へショッピングに行くことになった。
「すみれにとって、ラビって特別?」
「えっ?!」
「え?違うの?」
「えっ、てか、そのっ!普通に、というか、……えぇっ!?い、いきなりどうしたの?!」
手にした商品を落っことしてしまいそうになった。
今はリナリーと2人で雑貨屋に来ている。
突然、胸の内を突かれたような話題をふられたため動揺してしまった。
だからと言ってどもりすぎだろう、私!!
思わずラビが周辺に居ないかキョロキョロと確認する。
「ラビが居たらこんな話しないよ」
「そ、そうだよね」
今、ラビは古本を見に行っている。
「ラビが来てから、すみれが変わったなと思ったの」
「…科学班のメンバーにも言われたなぁ」
「だって、すみれったら分かりやすいんだもの」
リナリーは両手を軽く合わせ、肩をすくめてふふふっと笑う。
彼女の些細な動きに合わせて、美しいツインテールも同じように揺れる。
本当 可愛いなあ
女の子が憧れる、王道の女の子だ
「…まあ、黒の教団にくる前から知ってたからね。そうゆう意味では特別、かなあ」
「なんか幼馴染みみたいだよね。すみれとラビって」
「えぇ?!幼馴染み?」
私とラビは幼馴染と言えるような年月は歩んでいない
「一緒に居たのはほんの少しの期間だったから。幼馴染なんて言えないなぁ」
「そうなの?一緒に居た月日は短いのに、仲良しって……すみれにとってラビは、やっぱり特別なのね」
リナリーは少ししょんぼりしたような、目を伏せ心ここにあらずで雑貨を見ているふりをしている。
なんだろう。今日のリナリーはなんか変だ。
やたらと私とラビの関係を気にしている。
あれ、もしかしてリナリーって…
ラビの事が 好き?
嫌な汗がじんわりと体中に広がる。