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49番目のあなた【D.Gray-man】

第4章  呼び名



いないよ、と答えようとしたが 辞めた。




「いるよ。」と、ポツリ。




「えっ そうなん?」

隻眼を見開き、誰々?と。
聞いてきた割には意外そうに驚いた顔をしている。どうやら興味がお有りのようだ。


「それがねぇ!
こうやって紅茶を飲む仲なのに、名前すら知らないのー」


切ないわあと、白々しく。
頬杖を付いて横目で少年を見る。
ブフっと紅茶を吹き出す少年、ちょっとそんなに驚きすぎ。


「………ディック。」


少年がポツリと呟く。


「えっ?」

「ディック。
俺のことは“ディック”って呼んで?」



性は言ってくれなかったけど、それだけで十分だった。


「ディックね。私のこともすみれでいいよ。」


やっと聞けた、少年の名前。
私が一番知りたかったことだった。

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