第4章 呼び名
最近知り合った赤髪の少年がすごい。
知り合ったというか、お屋敷に迷い込んできたというか。
出会いは何とも言えないのだが。
少年は私の知識と比べ物にならない位、色んな国の語学、歴史、文化を知っている。
話の様子からして、どうやら色んな国に訪れているようだ。
少年の話を聞いて飽きることがない。
今まで参加した社交界やお茶会が、どれだけ退屈なものだったのか思い知らされる。
いつの間にかティーセットとお茶菓子を準備して、少年を待つようになっていた。
机には私のティーカップを。
幅広い窓枠に少年のティーカップとお菓子をセッティングする。
この窓枠が私と少年の境界線だ。
知り合ってから何度も会話をするも、少年のことは容姿と年齢と豊富な知識があること以外は何も知らない。
この境界線を越えさせないようにしているのを感じる。
越えてしまったら関係がなくなってしまいそうで。何も聞けずにいる私がいる。
それでも私は
今日もここで、少年を待つ。