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49番目のあなた【D.Gray-man】

第8章  前兆



「ご、ごめんね。プレゼントがささやかすぎて」

「……刺繍は、すみれが?」

「そうだよ。おめでとうって気持ちが、伝わればいいなって思って…!」

「……」



思わず、刺繍に見入ってしまった。
パッと見はロゴだと思ってしまうくらい丁寧に、そして綺麗に刺繍されている。



「で、でも!手作りに拘り過ぎちゃったかな?!」


俺の反応が遅れ、何も示さないことにすみれは焦りだす。
そんなすみれの手をよく見ると、いつも綺麗な手にペンだこはあったものの、指し傷や切り傷等が追加されていた。


(ああ。慣れない事を、一生懸命やってくれたさね…)



自分なんかの為に、どれだけ時間をかけて頑張ってくれたのだろう。




申し訳ない気持ちと

それを遥かに上回ってしまう、嬉しさ。




ぎゅううっと、両手で持っているハンカチに力が入ってしまいそうで、抑える。




「…ッ、ごめんねっ!やっぱり返してーっ!!」

「やだ」

すみれが伸ばした手を、俺はひょいっと避ける。



「すみれは器用さね。こんなことも出来るんか」
俺は刺繍をまじまじと見る。

「う…そんなに見なくていいよ!」

「めっちゃ嬉しいさ!…大事に、使う」

「!…ありが、と」
すみれは安心して、ほっとひと息つく。


貰ったハンカチの刺繍で、1つ。
小さな控えめのモチーフに、俺は目を見張る。



(これはーーーー)



「だけど、これは駄目さね」
とある1つの、刺繍を指差す。

「え、やっぱり気持ち悪い?!」

「は?違うって!刺繍の、ここさ!」




俺が指差したのは

向日葵の、刺繍。




「向日葵、さ。花言葉、有名だろ?」

(俺だから、良かったものの…)









向日葵の花言葉は、



崇拝

愛慕



私はあなただけを見つめる。




(自惚れちまう、さ。)
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