第1章 再会
ーーーーーーーーーーー
ーーーーーー
涙が落ち着いた後、リナリーはナースに付き添ってもらい病室へ向かった。
その姿を見送り、私もその場を立ち去る。
聖戦というものを改めて痛感させられた。
私には、エクソシストやファインダーが戦場へ向かう姿を見送ることしかできない。
力が、無いから。
でも、出来ることもある。
科学班として、サポートすることだけは。
それだけは、出来る。
戻って仕事をしよう。
「勝手に広場に残ったこと、咎められるかな…」
泣き腫らした目もそのままに、科学班へ向かう。
歩いていると前方に白いベレー帽と白いコートを着た人物が見える。
黒の教団本部室長(リナリーの兄)であり、最高位のコムイ・リーだ。
コムイ室長は見慣れない格好をした男性らしき2人と話をしながらこちらに向かって歩いてくる。
そうだ、入団者が来るって言ってたな
エクソシストとして、2人も。
今日だったのか。
コムイ室長との距離がアイコンタクトを取れる近さになり、ペコッと頭を下げる。
ニコッと笑って返してくれた。
入団者への挨拶は改めよう。
今はコムイ室長から黒の教団の説明を受けている最中だ。
すれ違いざま、コムイ室長の後ろにいる入団者2人にチラッと目を向ける。
一人は背が低めで、独特なアイメイクが目立つ高齢そうな男性。
もう一人は赤髪で隻眼の、青少年ーーーーー
「ーーーーーーーーーディック?」
無意識に自然と私の口から零れた。
彼の振り返る姿が、スローモーションに見える。