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夜行列車に跨って

第8章 7shot


「こちら、ハイボールになります」


ふざけた様に、缶一本を差し出される。
私はありがとうと言いながら、それを受け取った。


プシュと心地よい音を出して、今度は「乾杯ー!」と缶を鳴らした。


「っあー!最高ですな~」


ハイボールが好きらしい彼は、幸せそうに缶を煽る。


「ねぇ、そまみちゃん」


私の隣に腰かけた彼から、名前を呼ばれた。
顔をそちらへ向けると、チュっと冗談のようなリップ音が響いた。


「嫌だったら、すぐ止めるから。」


私は缶を近くのローテーブルへ置いた。
そして、丁寧にセットされた彼の髪をソッと撫でる。

その手を頬へ滑らせて、私は一度キスを落とした。


「そまみ、ちゃん、?」


娘の様に、壮馬くんが顔を赤らめた。
私は、そんな彼の耳たぶに吸い付く。

リップ音を一度鳴らした後で、「ベッドじゃないとヤダ」と囁いた。


「…来て」


彼の手に引かれるまま、ベッドに二人で腰かけた。

照明を暗く落としているのは、気遣いなのか。
それとも彼がヤり慣れているからなのか。

私にはどちらでもよかった。

繋いだままの手をギュッと握ってみる。
そしてそのまま、引き合うように唇を重ねた。


驚くように柔らかいその唇は、私の好奇心を駆り立たせる。
数センチだけ、唇を離して見つめ合う。


撫でる様な優しい視線を送られた私は、トサリと彼を押し倒した。
頬にキスを落としながら、壮馬くんの髪に触れる。

そのまま耳にもキスを落とすと、今度は彼の首筋に唇を這わせた。


「…意外と、S…?」


好奇心溢れたような声で尋ねる彼は、SとMどっちなんだろうか。
質問に肯定するように、壮馬くんの白い肌へキスマークを吸い付けた。


「っ…ねぇ、」


突如声のトーンが変わる。
先程までの柔らかい声とかけ離れた、じっとりとした低い声に、私はキュンと疼いた。


そして気づけば、今度は私が押し倒されている。


「もう、イイでしょ?」


有無を聞かないまま、ねっとりと唇を吸われた。
そして、私が先程までしていたことを真似る様に、頬へキスを落とす。

耳たぶをパクリと甘噛みされ、鎖骨にキスマークを刻まれた。

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