第6章 5shot
「空いていない、か…」
頬と頬が触れ合うような近距離で、スマホの画面を2人で見つめる。
いくら見つめても、✕が〇になる事はなかった。
「…僕の家、来ますか?少し汚くても良ければ…。」
彼が恥ずかしそうに、顔を歪めて笑った。
いいんですか?と聞き返すと、齋藤さんは艶っぽい瞳で私を見つめ返した。
そしてロダンの考える人みたいに、自身の顎に手を当てる。
「いや、かな?」
妙に私の胸がドキつき、高鳴る。
連れてってと言わんばかりに、私は片手を差し出した。
そして意味を暗示させるように、微笑んでみせる。
「おいで」
ギュっと手と手が繋がった。