第3章 歪んだ関係
「んー2人まだかなぁ」
「そんなに気になるなら図書室の中で隠れればよかったのに」
「盗み聞きは私の良心が受け入れません」
野次馬してる時点であまり変わらないのに、と悠弥は肩をすくめる。
そんな悠弥に瑞希は口を尖らせる。
「だって気になるじゃん!上手くいくか…」
瑞希と悠弥は廊下の死角になる所にいた。
瑞希が由香里を、悠弥が瞬をそれぞれ呼び出したのだ。
図書室は悠弥に頼んで、人が来ないよう"閉"の札を出してもらっていた。
「にしても遅いよ…中で喧嘩でもしてたら…?」
「大丈夫だって2人とも思っていたことは同じなんだから。………来た」
瑞希と悠弥が息を潜める。そして図書室から出てくる2人を見ると、顔を見合わせにっこり笑った。
手を繋いだ2人の後ろ姿を眺めて。