第6章 見直しと壁【原作編(雄英体育祭)】
先生との用事を済ませ、職員室を出る。
さて、
轟くんについて考え、頭を悩ます。さっきは戸惑いのあまり逃げてしまったが、さすがにあれは失礼だったと実感する。振ったのは彼ではあるけど、彼が悪いわけではないのだ。まだ整理できてない自分が悪い。
もう一回会って話した方がいいのだろうが、彼の負担にならないか少しだけ心配だった。
教室に戻り、授業を普通に受けていると、通路側でバタバタとしている先生たちの姿が見えた。しかも校長までそこにいたのだ。その様子をうかがうように、普通科で授業をしていた先生も詳しい事情を聴くために、授業を一時中断した。
「なにあれ、」
『…なんかあったのかな』
「先生、大集合ってなんか事件でもあったのかも」
『し、信じたくないな、』
できれば何もないことを願ったが、翌日臨時休校になった件や、
ー昨日雄英高校ヒーロー科の災害訓練施設で生徒達がヴィランに襲撃を受けた事件の続報です
ー警察の調べによると犯人グループは自らをヴィラン連合と名乗り、今年春から雄英高教師に就任したオールマイトの殺害を計画していたことが新たにわかりました
ニュースの音声を通して、我が校の身近に事件が発生した事が改めて知り、身が凍る思いだった。なんだか現実味が沸かない上に、ヒーロー科となると、轟くんもその襲撃に巻き込まれたということだ。彼の事が心配だった。
『失礼します。お体は大丈夫ですか?』
「心配ない。」
数日後、職員室に呼ばれた私は、渡された資料を見てびっくりする。
『え?雄英体育祭普通にやるんですか?』
内容は体育祭に関するものだった。ちなみに相手は1年A組の包帯でグルグル巻きで顔が見えない相澤先生だ。事件でお怪我をされて大変なはずなのに、もう復帰されてるのはプロであることを実感させられる。ヒーロー科の担任はやはり凄い。
「ああ、その代わり厳重に警備を通常5倍強度高めるそうだ。」
『そうですか…』
「雄英体育祭は今やオリンピックといわれるほどのイベントだからな。簡単に中止はできない。」
確かにこのイベントを通して、生徒をスカウトするヒーロー事務所もいるぐらいだ。学校側としてもあまり止めたくないんだろうな。
「じゃあ、頼むぞ」
『わかりました。』
とりあえず自分はきちんと資料を普通科の皆に渡しておこう。