第11章 逃走と真実【原作編(合宿/神野)】
※轟視点
先生と面談するというキリがいいところで、解散になった。
自分の行動を思い出し、一気に血の気が去っていく。
そもそもどうして俺は消毒という事いいながらアイツに触れたんだ?
あの傷跡にイライラしていたの事実だ。でもほぼ八つ当たりみたいに彼女の首元に唇を寄せるなんて、あのヴィランがやってることとほぼ同じじゃねぇか。
それをわかってどうして途中でやめれなかったのか。
(.....俺、は)
最初こそ怒りと罪悪感から来る行動だったが、序盤にその感情は解消していた。少しでも触れるたびに、一つ一つに敏感に反応している彼女を見て、俺はいつの間にか辞めどきを見失っていた。
ーわ、わかった、っ、今度から注意するから。
ーね、ねぇ、ってば
いつも懇願することをしない彼女があの瞬間だけ俺に懇願し、戸惑っている姿が目に映る。
俺はおかしいのだろうか。
あいつのその表情を見た瞬間、急に脈が速くなるのを感じた。そして、思わず首元を舐めてしまった。
傷跡のついた首元を
恥じらうような、顔を真っ赤にした彼女の反応が脳裏に焼きついて離れなかった。あのことを思い出すたびに、心臓がうるさい
(........)
元々はあいつのことを知りたいという気持ちで動いていたはずなのに、どんどん俺は欲張りになっていく気がする
あいつについて知りたい。
触れたい。
そして
見たことない表情をもっと身近でみたい。
そう願っていることに気づいた。
思えば、あいつに向けるこの感情はなんなのかずっと考えていた。
色々可能性がある中で、あいつを好きなのかもしれないと考えに至ったが、真っ向からあいつに否定されていた。
恋人がするような、手を繋ぎたい、抱きしめたいという感情があるわけない。勘違いだとそう言われた。
あいつが問いかけた時は、すぐ答えられなかったが、あいつが言っているような、恋人としての好きという感情がなんなのか知りたくて、実行してみて実感する。
俺はこの温もりを手放したくない、と
なぁ、
一条。
お前は俺がお前を好きになることなんてないって言ってたが、
俺はそんなことないと思っている。
今感じているこの想いに嘘はない。
ならば、お前に向ける感情は一つしかないはずだ。
きっと、
それは......