第9章 好意と本音【期末試験】
※一条視点
『嫌‥‥ってどういうこと?』
「‥‥それは、」
思わず唇が震える。
その反面、真っ直ぐに私の事だけを見つめている彼に目を逸らしたくなった。
彼がどんな気持ちで私を見ているのか、よくわからない
「‥‥俺はこれからのお前との時間をもう一度作りたかった。…だから、勝手に体が動いていた。お前との縁がこれで終わりそうな気がして、ならなかった。」
彼の気持ちに嘘は感じられない。だからこそ混乱してくる。
本当に親切心だけで言ってる言葉なの?って疑いたくなる。そんなわけないと何度も思っても、
「でも、お前に辛い想いをさせてたなんて知らなかった。‥‥それは全面的に俺が悪い。」
『そんな、こと、』
「‥‥いや、実際そうだろ。」
彼はじっと私の顔を見ていた。そして次第に困ったかのように表情が歪む。
「‥‥やっぱり駄目か?」
『…‥え、』
「俺はただ日常会話でもなんでもいい。ただお前と関わっていきたいだけだ。それももう駄目なのか?」
『‥‥、』
その表情が寂しげに感じて、言葉に詰まっていた。
私は自分のために、これを拒否しないといけないと思うと、ただただ吐きたい気分だった。
『‥‥ダメだよ。』
「‥‥!」
『‥‥好きでもない女の子に、期待させるような行動しちゃ駄目だよ。』
厳しくそう言った。
彼の善意だとわかっていても、気持ちがざわめいてしまうなら、ハッキリとそういうしかないだろう。
『‥‥‥気持ちはすごく嬉しいけど、でも、やっぱり、私はもう轟くんに会うつもりはないよ。さっきも言ったけど、これは自分のケジメだから、』
「‥‥‥」
『もう、あの頃みたいにはなれない、から、』
一度告白してしまった私たちの関係は変わってしまったのだ。
そんなことない。大丈夫って思っていたけど、やっぱり人の心はそう簡単にできていなかった。
「‥‥‥だが、俺は、」
『‥‥‥ごめんなさい。』
彼の厚意を断るのはとてもつらいけど、
時間が経てば、轟くんも私のことなんて忘れてくれるだろうから、
そう願っていた時だった。
「…‥あら、轟さん?」
向こう側で誰かが轟くんを呼んでいる声が聞こえた。