第8章 距離感と興味【原作編(職場体験)】
テレビをあまり見ない自分の耳にも届くほどの大事件がここ最近多発していた。
ヒーロー殺し「ステイン」
その名が広がり始めたの体育祭後。たくさんのヒーローを殺しまわる逃走中のヴィランらしい。
情報に疎い自分がこの情報を耳にしたのは、少し後だった。偶然にもヒーロー殺し「ステイン」が現れている場所が、東京・保須市だという事を知り、その事実に恐怖を感じてしまった。なぜなら、
(…‥おばあちゃん、大丈夫だよ、ね‥‥?)
よりにもよって、その地域が、おばあちゃんが入院している保須総合病院の近くで起きている事件だったからだ。
もう少し早く情報をつかんでいればよかったと、後悔が残る。週末には絶対伺っておかなければ、
(‥‥今度からはすぐに情報把握できる習慣をつけなきゃ、)
そう自分で反省して気持ちを入れ替え、寝る前に保須市で何かが起こっていないかを確認している時だった。
(…‥え、)
ネットニュースで保須市での事件…脳無と酷似しているヴィランたちが出現したらしく生放送らしき映像と一緒に添付されていた。
(‥‥ヒーロー殺し「ステイン」も充分危ないのに、多数のヴィランも発生しているなんて、)
不安が押し寄せてきて、その夜はすぐ寝る事はできなかった。
その後、週末にはすぐおばあちゃんが入院している病院へ向かった。大丈夫だと思うが、事件が事件という事もあり心配せざるを得なかった。
『‥‥おばあちゃん!』
「あら、沙耶…」
「こら、一条さん。病院では静かにしないといけませんよ」
『あ…ご、めんなさい。』
つい心配で大声を出してしまったが、看護師さんのそばにいるおばあちゃんの姿を見て安心した。
「それじゃあ、また何かありましたらボタンを押してくださいね。」
「…ありがとね、」
看護師さんは用事が済んだらしく、カルテを手にして出て行ってしまった。そして、背後にいる誰かがいる事にようやく気付いた。
『‥‥心配、した…よ、』
その相手を目にした瞬間、第一声で喋ろうとしてた言葉が思わずでなくなってしまった。
長年会っていなかった人のが目の前にいる事が信じられなかった。
『‥‥おとう、さん。』
「、ひさしぶり、だね。沙耶」
数年ぶりに再会した父がそこにいた。