第7章 小ジャガ。をプロデュース【Vil】
「そうだ。先輩、これ見てください」
「なぁに?この青いガラスは」
監督生の手の中のそれは、目玉のような青いガラスの塊で、ビーズがくっついた金色の紐が通されている。
これは彼女の元いた世界のトルコという国にある、ナザールボンジュウというお守りにそっくりだった。
「実は会場でお友達ができたんです、妖精の」
「ふぅん」
「彼女、ものづくりの妖精で。お近づきの印にって作ってくれたんです。」
名前は確か、ティンクと。
彼女は嬉しそうにお守りを見つめる。
「よかったじゃない。で、どうして2つあるの?」
「…ひとつは、好きな人に渡すといいわって。」
「まあ。」
でもレオナそういうの、興味示すかしら。
まぁいいわ、この子の気持ちを無下にしたらアタシが引っぱたいてやる。
「あげてきたら?」
「はい…そうします」
監督生は心の中で言い聞かせた。
夢でなんて終わらせないわ、ぶしつけでも待っているだけはもう辞めたの。
「はい、どうぞ。ヴィル先輩!」
監督生は赤い林檎のように頬を照らしながら、彼女の武器である最高の笑顔で片方を差し出した。
「アタシ?!」
END.