第7章 小ジャガ。をプロデュース【Vil】
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監督生は背中に羽が生えたような気持ちだった。
フェアリー・ガラが終わった。
…楽しかった。
素敵なファッションや妖精たちの世界に囲まれて。
カリム先輩やジャミル先輩は似合ってる、と言ってくれたしラギー先輩とは前よりもっと仲良くなれたし、レオナ先輩は特別に一緒に写真を撮ってくれたし。
ツイステッドワンダーランドで1番大きなコレクションに出る…というのは遠慮したいけれど。
今日はとてもとても、楽しかった。
「アンタは着替えないの?」
「あ…ヴィル先輩。脱いでしまうのがもったいなくて」
他の皆はもう着替えに向っている。
監督生はしかし、今日が終わってしまうのが名残惜しくてまだガラ・クチュールを着たままポムフィオーレの庭をうろついていたのである。
夕暮れの庭は、静かで妖精の声が今も聞こえるような気がした。
「また幾らでも着せてあげるわよ」
ちょっぴりメランコリーな彼女は、やはり前より垢ぬけたと思う。
ヴィルは仕方なく、「今日のアンタ、良かったわよ」と頭を撫でてやった。
「あの。ヴィル先輩とまだ写真、撮っていません」
「アタシと写真?…ハァ、いいわ。今日だけ特別よ」
普段なら一般人とのツーショットなど絶対にタダでは撮らないが、今日ばかりはご褒美のつもりで許可をした。
ヴィルは今機嫌がいいのだ。