【HQ】喧 嘩 止 め た ら 殴 ら れ た !
第2章 夏に濡れ衣ぎを着させたい
。。。。
瞑っていた目を、無意識にそっと開く。
いつの間にか一夜が明けていた。カーテンを閉め損ねたせいで寝起きの直前には眩しすぎる朝日に眉間にしわが寄る。
一瞬都合のいい夢かとも思ったけど、記憶のどこかで軽く泣いた私がいる。瞼が重いし顔も浮腫んでいる。あれ、もしかして私また殴られたんじゃないのか? と、一瞬思った。
けれど何故だろう。こんなしかめっ面で、こんな浮腫んだ顔で言うのも説得力はないが、今すごく生きている心地がしてる。もう私はあの日の私じゃなくなっている気がした。
よさこい祭りから帰宅し、お風呂を終えた後、疲れてそのまま眠って朝を迎えた。スマートフォンで時間を確認する。十二時二十三分。通知件数五十四件。
グループメールにはクラスのみんながそれぞれ撮った写真がアルバムに追加されている。
メッセージには実行委員長だった治くんをはじめ、お疲れ様!とみんなが返信を交わしていた。
――――少なくとも、俺たちのクラスにはそんなクズおらんよ。
ふと治くんに言われた言葉を思い出した。
私は、もっと根本に早く気付くべきだった。あの日の疑問は、間違いではなかったんだ。全員が全員、あんなクズみたいな人間じゃない。