【HQ】喧 嘩 止 め た ら 殴 ら れ た !
第2章 夏に濡れ衣ぎを着させたい
もうやめよう、あんなの。
治くんの言う通り――あんな奴に人生振り回された私が可愛そうだ。
ごめん、私。私が間違っていた。気付いてあげられなくてごめん。
しばらくして、何となく、自分の頭を撫でてみる。
なにしてんだろ、とふと我に返り自分の部屋から一階の洗面所へ向かい、冷たい水で顔を洗えばさっきの浮腫みもある程度引いてきた。
振り返り休日で平日が休みになった為、いつもは弟が独占しているリビングルームは誰もいない。寝ぼけた頭のまま、私もクラスメールに「おつかれさまでした〜」と一言送信する。
しばらくして、「水田さんもお疲れ~!」と、返信と一緒に画像が添付される。
隠し撮りされたのか、私がフルーツ飴を頬張りながら女子達が身に付けていた衣装の狐耳を嬉しそうに触っている。本当に何気ない写真だった。そのほかにもアルバムに盗撮や普段話す友達と取った写真も皆で撮った写真もまとめて保存されていた。
私は恵まれてると思う。周りの人に。
私はそれをずっと避けてた。気づきもせずに。
気づけば、私はその画像を保存していた。後でお母さんにでもあげようかなとか思っていると、ふといつもの疑問が脳裏に過った。
(もしかしたら、このアルバム永久に残る…?)
基本、人と話すのも写真も避けていたせいもあってサッと血の気が引いた。身体が拒否している。根本から染み付いた拒否反応は、すぐになくなるわけじゃない。
大丈夫、大丈夫と心にそう言い聞かせる。もう終わったこと、大丈夫。安心して。 私達のクラスにあんなクズはいない。
大丈夫だと分かってても、今にでも発狂してしまいそうだ。大丈夫なはずなのに謎の胸騒ぎに、このせっかくの振り返り休日も一息付くことも出来なかった。