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【HQ】喧 嘩 止 め た ら 殴 ら れ た !

第1章 喧嘩止めたら殴られた。





 そして治くんに言われた通り第二学習室に来た私達。戸を開けて中に入るとそこには既に先客がいた。それは昨日のおっかない北先輩と治くんとそっくりな双子の侑くんだ。……と、もれなく私の後ろに角名くんのおまけ付き。

「というか角名なんできたん?」
「なんか面白そうだったから」

 治くんの質問に角名くんがわざとらしい小声でそう答える。いや、聞こえてますけど。むしろここまで来たら侑くんよりほぼ全部角名くんのせいなんだけど。

「えっと…水田さんやったっけ?」
「はい…?」
「昨日はごめんなうちの部員が嫁入り前の娘に怪我なんてさせてもうて」

 ああ、私多分今ならこの先輩に恋してきた女の子達の気持ちがすごいわかる気がする。だってもうどっかの誰かさんとは月とスッポンくらいの差があるんだもん。

「え、いえいえそんな! とんでもないです!」
「…あの、水田さんのこ、この度は、大変申し訳ありませんでした!」
「すいませんでした!」

 バッと二人揃って頭を下げる侑くんと治くん。
 そう言えば、あれからあの黒髪の赤木先輩っていう人に保健室へ連れてってもらってからそれっきりだ。それに、あの北先輩のことだから改めてちゃんと謝るようにこういう場を設けたんだと思う。さすがおっかない先輩、やることが違う。

「あの、あとこれうちのおかんが…」

 そう言って侑くんから差し出されたのは紙袋を覗くと入った手作りのお菓子だった。綺麗にラッピングされた焼き菓子やタッパーに入ったシフォンケーキなどが敷き詰められている。いや、君達のお母さん。一体何者?


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