第6章 砥石が切れたみたいだから【エンカク】
「血湧き肉躍る…絶好の機会だ…なあ?お前もそう思うだろう?」
「はぁ…もう最悪…いい加減名前で呼んではくれないものですかね…」
「その目障りで鬱陶しい敬語をやめたら考えてやらんこともない」
「…あぁもう…わかった、わかりましたよーだ!…戦うこと大好きの君なんて大嫌いだ」
「俺も弱いお前が嫌いだ。…あぁそうだ帰ったら俺が相手をしてやろう。いくらかその不格好さが直るだろう」
その言葉に、エンカクは口角を上げてクツクツと笑う。
その様子を見たさくらも子供が悪戯に成功した時のような表情を浮かべ、トンファーナイフを強く握った。
「うわー死亡フラグ立てられたーホント大嫌い。でもかっこいい君に稽古つけてもらえるなら万々歳だね」
「萎えることを言うな、気色悪い。右ださっさとしろ。じゃないとお前を砥石代わりに斬ってやる」
「通り魔か何かかな!?はぁ…やればいいんでしょやれば!!」
「あぁそうだ。お前の実力、見せてみろ、さくら…!」
雨の中、二つの業火が立ち上がる。
それを見た増援は一気に殺意を手に向かってくる。
ブラウンの目は戦場の恐怖に怯えたまま。
オレンジの目は爛々と前線で剣を振るった。