• テキストサイズ

【アクナイ】滑稽でも君が好き【短編】

第2章 拝啓、ロボットさんへ【イグゼキュター】



それから数分、大分乾いた所でそっとその髪を撫でてみた。湿り気はない。


「はい、乾きましたよー」

「ありがとうございます」

「…うわぁ結構いい時間だな…寝ないと…」


枕元の置時計を見ると、24時を越えたところで明日の事を考えると寝るのは必然な時間だ。

寝るかと意気込み、グイ、と体を上に伸ばしている時、徐にベッドから立ち上がった彼は出入り口のドア付近に置かれたあのボストンバッグから、何やら物騒なものを取り出すと、そのままピタリと仁王立ちし始めた。

流石に頭を抱える。
同じように立ち上がると、ベッドから降りてその高身長の体に手を伸ばし、両手を肩に置いた。


「安い漫才じゃないんだよ?そんなボケ待ちみたいなのやめてほしいな。絶対寝れない」

「24時間任されています」

「アンタホントに死ぬよ!?」


深い溜息を吐いて手を下ろす。
自分の目線で見える得物は彼専用の武器なのだろう。重そうなショットガンが握られている。
そんなものを持っている男がいる部屋で寝られると思っているのか。いや何とも思っていなさそうだ。


「夜は、眠る時間です。…この部屋で横になれる場所はベッドしかありませんが…良ければ使いますか?」

「それでは深い眠りに落ちることになってしまいます」

「うん眠るとはそんなものなんだよ?」

「私の事はお気になさらず」

「私が気になるんだよ」


1日共に過ごしていて流石に学習したが、彼と押し問答をするとやはりこうなる。そんな時の対処法も重々理解できた。


「わかりました…じゃあせめてそんな物騒な物置いて、さっきみたいに座っててください。それならいいでしょう?」

「…」


はて、内蔵されているCPUが古いのか、ピタリとフリーズしてしまった。が、その数秒後、瞬きを落とした水色の目はこちらを向くと、ショットガンを下ろして言った。


「わかりました」


少し素直になって来たかな、と思う一方やはり厄介なのは変わらない。明日には確実にいなくなるから少しの我慢だと思い、ベッドに戻った。

/ 65ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp