第9章 大阪にて…
「ど、土門…。」
一之瀬がその声の主を見て呟く。
椿はまたバレた。とその場に蹲り、吹雪は蹲った椿を慰めに入る。
風丸はワタワタその場を行ったり来たり。
全員パニック。
「吹雪、お前の言ったことってどういう意味なんだ?」
吹雪が言ったこととは、『男の子として生活しててもきーくんは女の子なんだから。』のことだろう。
「えっと、なんのこと?」
この期に及んで言い逃れようと考える吹雪。こんな時、椿ならいつものような言い訳を思いついてくれるのではないだろうか。と椿を見るが、バレたことでパニックを起こした椿の思考は停止中。
「なんのこと?じゃないだろ。聞こえたぞ、北条が女の子だって。一之瀬、お前も聞いたろ?」
「えー、そんなこと言ってたかなー。聞こえなかった。聞こえたか、風丸?」
「い、いや、聞こえなかったなー。」
もう一之瀬も風丸も棒読み。こんなの聞こえたと言ってるようなもんだ。
「まぁ、別に興味はないけど。北条、お前が黙ってたらわかんないな。どっちなんだよ」
「きょ、興味ないなら、別に、ど、どっちでもいいんじゃ。」
「バカ、それ女だって認めてるようなもん!」
墓穴を掘る椿と吹雪。
「「あ、」」
気づく一之瀬と風丸。
「別にバラしたりしないよ。ただ、ここまできたら事実が知りたいだけ。北条が女だろーが男だろーが別に興味はないって。」
興味はない。その言葉は椿の心を軽くした。