第5章 白恋中サッカー部
その頃、教室の真ん中では吹雪を取り囲み雷門イレブンが質問攻めしていた。
「ねぇ、あの子は?」
吹雪は教室の端で寝ている椿に気付いて円堂に聞く。
「あぁ、あいつは今日具合悪くてずっとキャラバンで休んでたんだけど、ご飯だから呼んできたんだ。」
「あの子も選手?」
「あぁ。」
「名前は?」
「北条椿だ。」
円堂のその言葉を聞いて吹雪は勢いよく立ち上がった。
「きーくん!?」
吹雪は椿の方に走っていって、顔を覗き込んだ。
「ほんとにきーくんだ。」
「なんだ吹雪、北条と知り合いなのか?」
円堂に聞かれ吹雪は頷く。
「きーくんー。」
吹雪は椿に悪いと思いながらも声をかけ、頬を突いてみる。
「ん?誰?」
椿はゆっくりと目を開ける。
「あぁ、士郎か。」
椿は目の前にしゃがんでいた吹雪の頭を撫でてまた寝る。
「え、驚いたりしないの?」
「理解したから。あれだ、みんなが探してたストライカーが士郎ってことだろ?」
「そうだけど、久しぶりに会ったんだからもうちょっとなんか言ってくれても良いんじゃ。」
「エターナルブリザードか?」
吹雪は立ち上がり頷いた。
「アツヤも元気なんだな。てか、士郎身長伸びた?」
吹雪が立ち上がったのを見て椿が言う。
「そうかな?自分ではよくわかんないや。」
椿は背比べをしようと、吹雪に支えられながらフラフラと立ち上がる。
「ほら、昔は俺の方が大きかったのに。今は士郎の方が大きい。むかつくな。」
椿はまた怠そうに椅子に座る。
「ねぇ、なんで眼帯しているの?」
「母さんに殴られてな。目に指入った。」
「まだあのお母さん諦めてないの?」
椿は呆れた様子で頷く。
「寝れてる?」
「寝れてると思う?」
「思わない。」
「そういうこと。俺、やっぱ士郎いないと寝れないみたいだから。」
椿と吹雪は2人で笑う。
「あ、ダメだ。笑うと頭に響く。」
「寝てなって。」
「起こしたのはどこのどいつだったかな?」
「ごめん。」
「平気。」
椿また寝始めた。