第4章 旅立ち
「馬鹿。」
風丸が呟く。
「どうしたんだ?」
いち早く立ち上がった土門が鬼道に聞いた。
「北条を見てみろ。こんなにうなされてる北条は初めて見た。あいつはどこでもいつでも寝るがこんなになるのは初めてだろ。」
まだ出会ってから4日ほどしか経ってないが、椿が寝ているのは何度も見ていた。毎回そこそこ気持ちよさそうに寝ているのだ。
「北条、大丈夫なのかな?」
一之瀬も立ち上がり椿の顔を覗く。
「俺、監督に声かけてくる。」
円堂は立ち上がり、外のテントで寝ている瞳子のもとへ向かった。
しばらくして円堂と瞳子がキャラバンに入ってくる。
「起こしても起きないの?」
風丸が頷いた。
「なんで北条くんが今寝てるのかしら。この子、夜は寝ないはずよ。誰か知らないの?」
瞳子はみんなを見渡す。
「さっき北条が、みんなとサッカーをやりたいと言ってたので無理やりにでも夜に寝てみたらどうだという話になったからです。」
鬼道が手短に説明する。
「そう。しばらくすれば落ち着くと思うから早く寝なさい。明日も早いわ。」
瞳子はそう言うと長い黒髪を揺らしてキャラバンから出て行った。
時間が経ち、椿も落ち着いてきた様子だった。
「確かに、さっきよりは落ち着いたみたいだな。」
風丸が椿の様子を伺って言った。みんなも少しずつ落ち着きを取り戻す椿を見て安心し、元の場所に戻り寝始めた。
それでも椿のお世話係が定着し始めていた風丸は心配で寝ることができない。
「風丸、お前が明日起きれなかったらそれこそ大変だろ?寝ろよ。」
「そうだな、」
円堂に言われて風丸も目を閉じた。