第4章 旅立ち
「おい、あれ凄くないか?」
「え?北条か?」
鬼道が風丸に椿を見るように促す。
「確かにすごいですね。あんなにボールを落とさないなんて。」
近くにいた目金欠流も眼鏡を押し上げながら言う。
「ほんとだなぁ。なんであんなに崩れないんだろうな?」
「体の軸がしっかりしてるんだろう。どんな体制からでも立て直せる。だからボールを落とさないんだ。あとはあいつのボールコントロールセンスだな。」
円堂の問いに鬼道が答えた。
「おーい、北条ー!お前もこっちで話そーぜ!」
円堂は手を振って椿を呼ぶ。
椿はそれに気付いてボールを手に持ちやって来た。
「なに?円堂。」
「今お前がボールほとんど落とさないからすげぇなって話してたんだ。すごいな!」
「別に、そんなに凄くねぇよ。俺は1人でしか出来ないからやってたらいつの間にかってやつだ。」
「1人でしか出来ない?」
風丸が聞いた。
「あぁ。俺はみんなと時間の流れが違うからな。俺の行動時間は夜。でもみんなは逆だろ?だから同じ時間を共有することができない。だから俺はいつも1人なんだ。それに、友達とかいなかったし。」
「そんなに1人が嫌なら朝起きればいいじゃねぇか。」
いつの間にか染岡が聞いてたらしい。