第4章 旅立ち
椿は本当にすぐに帰ってきた。
髪の毛もろくに乾かさずに。
「ねぇ、北条くん。それって癖なの?」
「何が?」
「髪の毛いつもびちょびちょよね?」
「だってそのうち乾くだろ。」
「風邪ひくからふきなさい。」
「はーい。」
秋に言われて椿は素直に髪の毛の水分を取り始める。
そして席に着くと目の前には沢山の食事。
「うわぁ、今日も旨そうだな。」
みんなでワイワイ食べる。
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食後、椿はポケットから何錠か薬を出すと、それを飲む。毎夕食後にこの薬を飲むのが椿の習慣だった。
風丸はその薬がなんなのかずっと気になっていた。
「それ、なんの薬だ?」
「え?えっと、その、あれだよ、そのね。ほら、精神安定剤とかもろもろ?」
風丸は椿の歯切れ悪い答えに少し疑問を持つが、掘り下げて聞くことじゃないだろうと判断し、それ以上聞くことはなかった。
その後、秋は片付けを春奈と夏未に任せて椿のもとへ向かった。
「北条くん。さっき見て思ったんだけど、髪の毛すごいガタガタよね?整えてあげよっか?」
秋はハサミをかざしながら椿に聞いた。
「マジ?頼む!自分でやると中々後ろがうまくいかなくて。」
秋は手際良く椿の髪の毛を切りそろえていく。
「はい、できた。」
「ありがとな、秋」
食事の後はみんな疲れ切って眠くなってくる。だからみんなで談笑をしているのだが、椿は秋に髪の毛を切ってもらった後、1人端っこでリフティングをしていた。