第4章 旅立ち
夕方。秋の笛の音で練習をやめた選手たちが徐々にキャラバンのある広場に戻って来た。
「風丸と北条は?」
鬼道がこの場にいない2人に気づく。
「俺たちで探してくるでヤンス。」
1年生の栗松鉄平が同じく1年生の壁山塀吾郎を連れて森に入る。
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数分後
椿をおんぶする壁山とタオルやドリンクなどの荷物を持った風丸と栗松が戻って来た。
「北条?どうしたんだ?」
「俺が戻る途中で寝てる北条を見つけてな。俺が背負って戻って来てる途中だったんだが、壁山に代わってもらったんだ。」
風丸は説明した。
「もうすぐ夕飯よー。近くに温泉があるみたいだからみんなで行って来てね。マネージャーはさっき行って来たから。」
秋がみんなに言う。
「おい、北条。聞こえてるか?」
「すぅーすぅー」
「こりゃダメだな。」
仕方がないので椿だけ置いていくことになった。
「本当に起きないのね。森の中でも寝てたなんて、いつ練習してるのかしら。下手したら練習なんか全くしてないかもしれないわ。」
実は夜中に1人で練習をしているが、そんなことを全く知らない夏未は完全に椿のことを疑っているよう。
秋はキャラバンから毛布を持ってきてベンチで寝る椿にかける。
「そういえば、北条くんの髪の毛ってガタガタよね。」
「ほんとですね。自分で切ってるんでしょうか。」
秋と春奈が椿の髪の毛を少し触りながら話す。
それでも起きない。
しばらくして、マネージャーたちは夕食の準備に取り掛かる。
そして温泉に行っていた選手たちも少しずつ帰ってきた頃。
「ふぁぁー。よく寝たぁ!」
椿がやっと起きた。
「北条先輩!もうすぐご飯なんですけど、その前に温泉行ってきたらどうですか?もうあんまり時間ないですけど。」
「あぁ、うん。そうするわ。ありがと。」
椿は急いで風呂の準備をして1人で温泉に向かった。