第3章 雷門中サッカー部
夜中。みんなが寝静まった頃。
椿は1人で起きていた。
昼間はあんなに眠いのに夜は寝ようと思っても寝れないのだ。
これは実和子からの拘束が酷くてストレスが溜まり、精神的に追い込まれた幼い椿が、夜は寝ている実和子から逃れるために起こしたものであろう。と病院の先生は言っていた。
まだ実和子の拘束が怖いのだ。たとえ家を出て学校に住んでいても、中学卒業までは自由だと約束してくれてもあの恐怖は拭えない。
1人で校庭に行く。部室からサッカーボールを取り出して1人でドリブルをする。
「やっぱり1人じゃつまんねぇな。ここから離れてもっと遠くに行ったら昼間起きられるかな?そしたらみんなとサッカーできっかな?円堂たちはすごい楽しそうだった。俺も混ざりたい。」
椿はそう独り言を言いながら障害物となるコーンを並べた。
それを避けてボールを蹴る。