第3章 雷門中サッカー部
「夜中に1人で練習か。どした、史上最強チームのメンバーに選ばれて急にやる気になったか?」
「キャプテン。別に、急にとかじゃないっすよ。毎日この時間に練習してるんです。」
後ろから話しかけて来た洸平に椿が答えた。
「てか、キャプテンこそこんな夜中にどうしたんですか?」
「夜中ならお前が起きてると思ったんだよ。明日には旅立つんだろ?朝ちゃんと起きないやつとゆっくり話すなら夜中しかねぇじゃねぇか。」
「あぁ、なるほど。キャプテンは俺がいなくなるのが寂しくて俺と話しに来たんですか。」
椿は洸平を茶化す。
「そうだよ。悪いかよ。」
茶化したつもりなのに肯定されてしまった。そこはいつもみたいに『ちげぇよ!』とか言って殴って欲しかったのに。照れてしまうではないか。
「ちょ、そうだよってなんすか、気持ち悪い。熱でもあります?」
椿は照れ隠しに洸平のおでこに手を当てる。
「おかしいなぁ、平熱?」
「ったりめぇだろ!熱なんかねぇよ。お前、いつ戻るかわかんねぇだろうが。お前が戻って来た時俺はもう引退してるかもしれねぇ。今日の試合がお前と同じピッチに立つ最後になったかもしれねぇんだ。」
「確かに。」
「本当にお前はそういうの疎いよな。天然馬鹿野郎。」
洸平は椿にデコピンする。
「ぼーりょくはーんたーい。」
椿は棒読みである。2人しておかしくなって笑った。
そのあともお互いいつものペースで茶化し合い懐かしい昔話とかもしたのだった。