第12章 炎のストライカー
一方、試合はというと。
グングニルを進化した正義の鉄拳で跳ね返したところだった。
"未完成の究極奥義"というのは、"完成していない"のではなく、ライオンの子供が成長するように、技自体も成長していくという意味だったのだ。
「これが常に進化し続ける究極奥義、正義の鉄拳だ!」
「楽しませてくれるな。だが、技が進化しようと、我らから点を取らない限りお前に勝ち目はない。」
デザームはそう言った。
円堂が跳ね返したボールはあの少年の足元へと転がっていった。そしてコートの中に入るとその少年、豪炎寺はフードを取った。
みんな、豪炎寺が帰ってきたことを喜び、監督は選手交代で豪炎寺を試合に出した。
試合再開後、すぐに豪炎寺はデザームからボールを奪うとファイアトルネードを放った。
ゴールキーパーのゼルがワームホールで止めたように思えたが、豪炎寺の炎が燃え盛り、ボールはゴールネットへ到達した。
これで1対1だ。試合は振り出しに戻った。
「あれが豪炎寺。すげぇ。これ、俺いなくていいんじゃね?寝てていいんじゃね?」
椿はそう呟いてその場にしゃがみ込んだ。
「いや、あんなすげぇやつ、間近で見れるなんて貴重じゃん。起きてよ。」
椿はすぐにそう言って立ち上がった。
周りもパワーアップしている豪炎寺に驚いているようだった。
そしてデザームはまたゴールキーパーに戻った。
試合が再開し、鬼道がボールを持つが、豪炎寺には2人のマークがついていた。
鬼道は豪炎寺と頷き合うと2人のマークの真正面にボールを蹴った。
パスミスのように見えたそのボールは2人のマークの直前で曲がり、豪炎寺へと通った。
そして豪炎寺は新しいシュート技である、爆熱ストームでデザームのドリルスマッシャーを打ち破った。
そして、ここで試合終了。
2対1で雷門の勝利で試合は終わった。
試合が終了し、円堂とデザームが握手を交わそうとしたその時、光の中からガゼルが現れた。
「ガゼル様!」
「私はマスターランクチーム、ダイヤモンドダストを率いるガゼル。君が円堂か。新しい練習相手が見つかった。今回の負けでイプシロンは完全に用済みだ。」
ガゼルが手を挙げたことになにかを察したデザームは円堂から距離をとった。
ガゼルはエイリア学園のボールをデザームたちの方へ向かわせた。そして、光に包まれて彼らは消えた。