第12章 炎のストライカー
試合を見ていた土方の元に電話がきた。
土方はいつでも大丈夫だと返事をし、隣に座るフードの少年に電話を渡した。少年は反対側の観客席横に立つ3人の男に目を向けてから立ち上がった。
そして土方とともにスタジアムを抜けた。
そんな2人を追う3人の男。
1人の男が他の2人に向かって、でかい方は無視してフードの方に用があると言う。
土方と少年はつけられているのがわかっていた。そのため、二手に分かれた。
3人の男は急いで後を追い、フードの少年を見つけて声をかけた。
「久しぶりだね。といっても、君も私たちが見張っていたのを知っていたのだろうからそんな挨拶も必要ないかな。事情が変わってね。君の意思には関わらず、我々に協力してもらうことにしたよ。一緒に来てもらおうか。」
そう言って少年の方へ手を伸ばした。
そこで気づく。そのフードの男が例の少年ではなかったことに。
「誰だお前。」
「現行犯だ。」
少年になりすましていた男はフードを取るとそう言った。そう、警察だったのだ。周りは既に他の刑事に囲まれていた。
「諦めろ。逃げられはせん。」
「妹はどうなってもいいのか!?」
犯人である男の1人が本物の少年に向かって叫んだ。
「彼女は我々が安全なところに移した。」
「作戦失敗というわけか。ひとまず手を引くことにしよう。忘れるな!お前たちは常に監視されているということを!」
刑事の言葉にそう返すと、3人の男は紫の光に包まれて消えていった。
刑事は周りの部下に捜索を指示し、少年に声をかけた。
「ここまでよく頑張ったな。これで、公に奴等を追うことができる。あとは任せろ!」
「よかったな。これでもうお前を縛るものは何もない。行け!お前を待っている仲間のもとへ!」
土方の言葉に少年は頷いた。