第3章 雷門中サッカー部
校内をくまなく探す雷門イレブン。そもそも校内に生徒がいない。
休日なのだからそれもそうだ。
いろいろな教室のドアを開けては中を確認し、閉める。を繰り返す。
そして、ドレッドヘアとゴーグルにマント。と特徴的な生徒、鬼道が元文学部の部室を開けた。
そこにはソファーに寝そべる少年。
「あ、」
鬼道の声に少年が目を開ける。
「なに、あんた。うちの生徒じゃないな。」
「北条という奴を探してるんだが、知ってるか?」
「北条は俺だ。」
鬼道は目を見開く。
『ゴールにたどり着かせないディフェンダー』なんて言うからガタイのいい屈強な男を想像していた。
しかし目の前にいるのは自分よりも小柄であろう細身の少年。
本当に彼があのディフェンダーなのだろうか。
「俺は雷門中サッカー部の鬼道有人だ。エイリア学園を倒すために最強チームを作ろうとしている。そのチームにお前も加わってほしい。」
「条件がある。俺はギブアンドテイクの関係以外は望まない。俺に頼みがあるなら俺の用件も聞け。」
椿は冷たく言う。何せ、大事な睡眠時間を取られたのだから機嫌が悪い。
「チーム参加の前に、お前の実力をはかりたい。試合をしてくれないか?もちろんそっちの条件もある程度なら聞こう。」
「わかった。俺はあと1時間寝たい。1時間経ったら起こせ。キャプテンがいいってんなら試合してやる。」
椿はそう言ってソファーに寝そべる。
鬼道は彼が目を閉じたのを確認して部屋を出た。
しばらく廊下を歩いていると、チームメイトである風丸一郎太を見つけた。
「風丸!」
「鬼道か。どうだ、見つかったか?」
「あぁ、見つかったんだが、寝たいと言って寝てしまった。1時間後なら試合をしてくれるらしい。」
「寝た!?」
風丸は鬼道の言葉に驚きを隠せない。
鬼道は頷いて、他のメンバーにも同じことを伝えに行った。
校舎を出て、校庭に集まる雷門イレブン。
「本当に申し訳ねぇ。あいつ、家の環境がちょっと複雑で昼間はずっと寝てるんだ。勘弁してほしい。」
洸平は雷門イレブンに謝る。
「いや、俺たちがいきなり来たんだから仕方ない。」
鬼道は冷静に言う。