第12章 炎のストライカー
土方の放送により、大海原中のサッカーグラウンドは観客で埋まっていた。
そんな中、土方と共にやってきたフードを被った少年。
帰ろうとする少年に土方は『見るだけなら迷惑はかからない』と声をかけた。
土方はこの少年が雷門の試合を見られるようにと、人をたくさん呼んだのだ。これだけたくさんの人がいれば、この少年に誰も気が付かないだろうから。
そしていよいよ試合が始まった。
イプシロン改はドリブルもパスも速くなっていて、必殺技もパワーアップ。確実に実力を上げていた。
イプシロン改の3人技、ガイアブレイクもパワーアップしていた。
しかし、円堂はずっと練習していた正義の鉄拳で弾き返した。
円堂に負けじと他のみんなもイプシロン改の攻撃を悉く防いでいく。
しかし、そのままの勢いでリカが放ったローズスプラッシュはデザームのワームホームに止められてしまった。やはりデザームを破れるのは吹雪しかいないのだろうか。
「お前だ!お前が撃ってこい!」
デザームはそう叫び、吹雪へとボールを渡した。
椿は嫌な予感がして自分の持ち場を離れて吹雪の元へ走った。
「気にするな吹雪、お前は自分のプレーをすれば良いんだ。」
鬼道がそう言ったことに素直にわかったと答えた吹雪だったが、次の瞬間アツヤに変わってゴールへ向かって走っていってしまう。
「初めからそのつもりさ!」
「アツヤ!ふざけんなよ、お前。周り見ろよ!」
椿はそう叫びながら吹雪の横に並んで走った。
みんな吹雪と一緒に戦うと決めたのだ。吹雪の判断ならそれを信じるしかない。それでも椿は辛かった。だって今目の前にいるのはアツヤであってアツヤじゃない。
「アツヤ、お前は1人じゃない!周り見て連携しろ!」
椿の声をアツヤは聞こうともしなかった。