第12章 炎のストライカー
「まず、知ってる人も多いと思うけど、この話をした後に仲間になった人もいるからもう一回初めから話すね。
きーくんの家は簡単に言うと大財閥なんだ。北条家ってすごい有名らしい。やってることは色々あって、いろんな会社を経営してるって。今僕らが知ってる所謂大手企業の殆どが北条家と何かしら関わりがあるらしいってことくらいしか北条家の仕事については僕もそんなに詳しくはわからないんだ。ごめん。ただ、きーくんは将来その仕事を継ぐためだけに勉強をしてきてるってことは知ってる。
今、北条家の当主として全てを統括してるのはきーくんのおじいちゃんの源十郎(げんじゅうろう)さん。本来なら、長男であるきーくんのお父さんの聡(さとし)さんが跡取りのはずだったんだ。でも、聡さんは5年くらい前に亡くなった。それで今はきーくんが源十郎さんの跡取りなんだ。
聡さんが亡くなる前、きーくんが生まれてくる前からきーくんのお母さんである実和子さんは次期当主はきーくんだから当主に相応しい人に育てようって思ってたみたい。
実和子さんの思う完璧な当主に無理やり育てようとしたんだよ。それがなんであんふうな考え方になったのかは知らないけど、きーくんが生まれる前からきーくんの部屋を地下に作る計画を立てていたらしい。
きーくんは生まれてからずっとその地下の部屋で1人で暮らしてきたんだ。7歳のとき聡さんが無理やり北海道に連れて行くまでずっと外に出ることもせずに。だからきーくんは知識はあるけどモノを知らない。知らなくても生きていけることを知ってるのに、知らなきゃいけないことを知らないんだ。ほら、この前もコンビニとか初めて見てテンション上がってたし、お金の使い方とかよくわかってなかったし。今日だって海を初めて見たって言ってて、BBQのことも知らなくて。」