第12章 炎のストライカー
BBQが終わり、みんなはそれぞれ特訓を始めた。
「俺寝てていい?」
「北条くん、あなたはまだそんなことを言ってるの!?」
みんなと離れてマネージャーたちにそう声をかけた椿に夏未が声を大きくして言った。
夏未はまだ椿の練習量について納得していないのである。
「眠いし、もう、む、無理………すー」
椿はその場で倒れ込むように眠ってしまった。
「北条くん!?」
倒れ込んだ椿に秋が駆け寄る。
椿はたまに咳き込み、眉間に皺を寄せて眠っていた。
「北条先輩、なんか辛そうですね。やっぱり体調良くなかったんですかね?」
「うん、病み上がりだしね。」
秋と春奈が2人で椿を囲み、そう話していたところにみんなが集まってきた。
「きーくん寝てる?」
「なんか、苦しそうで。」
「うん、昔からこうなんだよね。この前発作を起こすまで元気だったのが奇跡だって思うくらいだよ。」
「そんなに体弱かったのか?」
吹雪の言葉に鬼道が問いかけた。
吹雪はその言葉に頷いて続ける。
「きーくんが住んでた部屋はね、きーくん専用の空気洗浄機みたいなのがついてるらしくて。きーくんの部屋は地下だから換気扇とかないとそもそも酸素がなくて死んじゃうんだけど、肺が弱いきーくんのために外よりもいい空気が部屋に行くようにされてたんだよ。だから外に出ると普段と違うってだけで発作を起こすこともあって。それを考えると外で走り回ってるのとかありえないことなんだよ。」