第11章 過去
「きーと士郎は幼なじみだ。俺も昔から士郎のことを知ってる。きーが睡眠障害なのは知ってるだろ?んで、士郎がいると夜でも寝れる。逆に士郎がいなくなるとこいつは精神が不安定になる。心と体は繋がってるって言うけど、それは本当でさ、きーは精神が不安定になるとよく発作を起こす。今回もそれが原因だな。とりあえずこいつはこっちで預かるわ。そこらへんの医者に診せるよりも北条家の専属医がいるからそっちに連れて行く。いいか?」
恭介はそう言って監督を見た。
そして監督が頷いたのを見ると椿を抱え、荷物を持ち、すでにキャラバンのすぐ横に待機していた高級車に乗り込んだ。
「きーが元気になり次第こっち連れてくるから、それまでに士郎が戻れるようにしといてくれるとありがたい。それじゃ失礼します。」
恭介がそう言ってドアを閉めると車はすぐに発車した。
その後、何事もなかったかのように練習は再開されたが、やはりみんな練習に集中できていないようだった。