第11章 過去
そんな中、トラブルは起こった。
練習中に椿がしゃがみ込み、そのまま倒れたのだ。
「北条!!」
みんなが駆け寄るが、椿は息を荒くし、辛そうにしていた。
「どうしたの!?大丈夫?」
秋がそう言って近づいて来るが、苦しむ椿にどう接すればいいのかがわからない。
「だ、大…丈夫。ハァハァ。薬、ハァ、飲めば…治る、から。ゴホッ」
大丈夫とは言いつつ、椿はだんだん咳き込んできた。とてもじゃないが、この咳では息ができそうもない。
そしてついには気を失ってしまった。
「ど、どうすんだよ。」
「とりあえず病院だ。救急車を呼ぶぞ。」
鬼道の判断で救急車を呼んぼうとするがそれを監督が阻止した。
「救急車はダメよ。連絡するから北条くんをキャラバンに運んで待ってなさい。」
監督はそこで誰かに電話し始めた。
こんなことになっているのに救急車を呼ばずに何をしているのか。監督への不信感がまた増えるばかりだった。