第7章 前の会社
教師の嫉妬か、驕りか、
良からぬ感情で亀裂を生みだそうとした。
「幸いまわりには長瀬しかいなくて、
長瀬との友情も
何もかも終わったと思いました。
けれど、
長瀬は『そうだったのか』と言ってくれて…
俺を身体を…
ぎゅっと、抱きしめてくれたんです」
その優しさがまた湊を救った。
だが、湊の話しを聞いて
…衝撃とは別の感情。
胸の四隅を強く撫でられる
甘いものではなくて、
もっと別のなにかを
沸々と感じる。
「それをキッカケに長瀬と距離が縮まって
はじめての恋人ができました。
長瀬は真っすぐで明るくて
俺のことすごく大切にしてくれて
すごくすごく幸せでした。
そんな気の緩みからか、
あれほど注意していたのに…
目撃されてしまって」
職場でのキス。
誰かは分からないが目撃され密告され、
長瀬は部署移動、
湊は転社というカタチがとられた。
それから長瀬の父親に
もう二度と近付くな、
ときつく言われたそうだ。