第7章 前の会社
「主任…」
「なんだ?」
俺が言葉に悩んでいると、
湊が先に口火を切った。
「メールに書いていたことは、
すべて…事実です」
続けて湊は、
同性愛者だということを告白した。
「誰がメールを流したのか、
身に覚えはあるか?」
「誰なのかもまったく…。
少し、前の会社でのこと
…聞いてくれませんか?」
湊がここに転社してくる前、
同僚の一人だった…長瀬由真と仲良くなった。
そして、湊のつらい過去。
「長瀬って…、副社長の息子か?」
「そうです。
…俺は生まれた時から
男の人しか好きになれなくて、
そんな自分が気持ち悪くて
人付き合いがとても苦痛で苦手でした。
中学のとき、
受験のため塾に通っていました。
その時、
俺のこと熱心にしてくれた男の先生がいて
本気で恋してしまって…、
一度だけ…、関係を持ちました」