第33章 𝐋𝐎𝐂𝐔𝐒 *
セドリックの大きな手。
免罪だといえば
イかれたやつだと中傷されるが
セドリックはアッサリ受け止めてくれた。
「あの夜、チェイスと喧嘩したんだ」
「友達か?」
「ああ。親友だった。
近所に住んでいたけど
高校になって話すようになった。
セドリックは
日本のアニメ知ってる?」
「見たことはないが。
アニメは知ってる」
「チェイスとはそのアニメがきっかけで
仲良くなった。
俺は人見知りだったけど
チェイスのおかげで
周りと打ち解けるようになったんだ」
「今とは大違いだな」
チェイスがいなかったら
もっと孤立した生活を送っていた。
チェイスがいたから
色んな経験も出来たし
笑う日々を送ることができた。
「チェイスは人気者だった。
多少意地っ張りな所はあったけど。
けど殺されるような奴じゃない。
なのに殺された。
俺を犯人に仕立て上げてな」
「……チェイスと
よく遊んでいたのか?
二人きりで」
「ああ。
周りと喋れるようになっても
本質はなかなか変えられない」
「恋人はいたのか?」
「チェイスは引く手あまただったよ。
スポーツ万能だし
頭も良いし
顔も良いし、
女の子に優しいから
俺が女だったら惚れてたかも。
俺はサッパリだけど
それがどうかしたの?」
「お前と仲が良かった男が
気になってな。
アニメ以外に二人でなにしてたんだ?」
「ほかは……」
チェイスは17歳の誕生日にもらった
バイクも積むことが出来る
真っ赤なピックアップで
色んな所に連れて行ってくれた。
もちろんケンジが苦手な
ライブ演奏やダンスをするような
入り乱れて騒がしいを避けて。
海に行ってサーフィン。
山に行ってキャンプ。
高級ホテルに宿泊したり
目的地を決めないでドライブしたり
時には行先で
女の子のナンパの仕方を教えられたりもした。
カッコつけて玉砕してたのは笑えたけど。
「チェイスは俺にとって
ただ一人の最高の親友だよ」