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【R18】Querer【創作BL】

第33章 𝐋‌𝐎‌𝐂‌𝐔‌𝐒 *







「オキノームの作用は早くて10分、
遅くても1時間以内に効いてくる。
今は一番量の少ない
2.5mgで痛みの評価を行う段階だ。

痛みは本人にしか分からない。
意識がない時はまた別の方法で見るんだけど
余計なことを話したら
尻が痛くなるから割愛する。

そこのリズム感のありそうな君でいい。
10分計測してくれないか?」


「俺のこと?
いいぜ。BGMかけてやる」


「ケンジ。俺を含め
ここには受験してる奴なんていやしない。
ましてや中学もだ。
言葉は問題なく疎通できるが
字の読み書きができない奴もいる。

骨が折れると思うが
相当噛み砕いて説明してくれないと」


「任せて。分かりやすく説明するのが
医療従事者としての務めだ。
何回だって根気強く説明するつもりだ。

それと…君の歌声を聞きたいのは
山々だけどサイレントで頼む」





時間計測を頼まれた囚人は口を閉じ、
静かにリズムに乗り始めた。





「医療行為やオピオイドは
長編の連載小説が書けるくらい膨大な知識だ。
医師はそれを踏まえて
患者やその家族に十分な説明をする。

説明したからとて受け入れる側が
誤って捉えてしまっては
効く薬も効かないし、事故が起きる。

それにあたってオピオイド、
別名:医療用麻薬について説明していこう」





ケンジは噛み砕いて説明していく。

ふざける場ではないと
陽気なラティーノは真剣に耳を傾け
そうでないものは席を離れる。

質疑応答を挟みながら
ケンジは必須事項を並べていくと
監房内の外から
ざわっとした声が聞こえた。





「よう、セドリック。
すまんがケンジを借りていた」


「………」





気さくな態度でモラは答えると
後ろにいたセドリックは
見上げるケンジを静かに見下ろした。


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