第33章 𝐋𝐎𝐂𝐔𝐒 *
カリフォルニア州の山脈を超えると見えてきた
何重にも配線が張り巡らされた要塞。
名を連ねた凶悪犯や長期受刑者たちが
人口およそ500人ほど収監できる
サバクト刑務所。
白塗りされた監房の中で
オレンジ色の囚人服を着た囚人たち。
厳つい刺青。
屈強な肉体。
生々しい傷跡。
青空の下のグラウンドで筋トレに励んだり
コートでバスケットを楽しんだり
ギャンブルを楽しんだり
ドラッグを売ったり回したり
好きなように時間を過ごしている
囚人たちの風景。
白や黒、茶色など様々な肌をした人種が
同じ塀の中で暮らしている。
「なあ。あんたは何したんだ?」
「……」
policeと書かれた護送車のなかに
手錠をはめた未だ私服姿の受刑者たち。
長い時間護送車に揺られ、
イキった若い白人が痺れが切らして
横に座っていた若いアジア人に話しかけた。
「言葉が通じないのか?
アニョハセヨー」
「おいっ! 口を開くな」
反応がないことを嘲笑い
アジア人に向かって指を突き立てた
イキった白人。
しかし護送車内で目を光らせていた
警棒を握った白人警察官に
注意され私語を慎む。
その若いアジア人こそ
牛垣秋彦演じる
ケンジ・ニイヤマという日本人の青年。
「着いたぞ。
今日からここがお前たちのハウスだ」
厳重な警備の門を潜って
護送車は物々しい雰囲気に包まれた
サバクト刑務所に停車した。