第32章 検索
気になったニュースを一通り
閲覧し終え、
なんとなく避けていた
検索ワードを入力する。
牛垣秋彦
「う」と打ちかけただけで
急上昇ワードで表示された名前。
ほかに話題となる「う」がなかった
だけかもしれないが、
芸能界を引退して約5年が経過しているはず。
一躍有名にもなれば
そう簡単に忘れられるはずもない。
牛垣について知りたいこと。
今までどんな活躍をしていたか…
どんな映画・テレビドラマ、
出演番組や
音楽活動もあったっけ。
牛垣といったら
女性問題は切っても切り離せない。
だからといって
アンチを探したいわけじゃない。
ただ何となく…
彼のことを少しでも
純粋に知りたいなって思っただけだ。
はじめて彼の映画を見たとき
もっと知りたいと
家に帰って調べてみようと思ったけれど、
結局先生とあんなことになったから
お蔵入りになっていた。
あのおぞましい映画の主人公が
いま目の前で
数人の部下を従え仕事をしている光景が
現実味があって嘘のようだ。
「……あれっ?
あれだけ騒がしたのに女性のワードがない
ってことあるんだ……」
仮にも上司。
あれだけ世間を騒がせた男だ。
芸能界に興味のない俺でさえ知っていた。
牛垣秋彦 現在、引退理由、高校、YouTube、歌詞、ドラマ、映画、こども、会社、写真集ときた。
芸能界を去っても
まだ知りたがりな世間がいるらしい。
個人のパソコンだから
誰にも見られる心配はないだろう。
躊躇するのも時間の無駄。
それよりも危険度が高い
ゲイ動画を漁りまくっているのだから。
ようやく決心した指が、
Enterキーを叩いたのであった。