第31章 加速
…まただ。
「……」
感じる。
またもや感じる。
(落ち着かない……)
歓迎会が終わった翌日から
そそがれる熱いもの。
あの場では近寄るという隙さえなく、
なにを口に運んだとか
どんな表情をしたのとか
それさえも見ることはしなかった。
なのに何故か、すごく見られている。
(俺…、なにか悪いことしたか…?)
その熱いものとは
牛垣主任の視線の行き先だ。
新人だからまだ監視対象なのか。
俺がゲイだと知って
ほかの奴に色目をつかっていないか
監視しているのだろうか。
心臓が落ち着かない。
ドキドキとヒヤヒヤが混ざって
すごく居心地が悪い。
俺が視線を返したら、
牛垣主任はどう反応する…?なんて
考えてみたものの実行はできず。
遠くから見るのだって
いつ気付かれないかと不安なのだから。