第26章 友達
俺は見た目も性格も真っ暗で、
心から友達と呼べる存在はいなかった。
真逆の長瀬は
そんな俺の腕を掴み、
明るみのある場所に引っ張ってくれた。
「あ。なるほど。そういうことかぁ」
「? なんすか」
視線をあげた頃に
先生はニヤッと不穏な笑みを浮かべる。
じっとりと目を細め、
ゆっくりと両方の口角をあげていく。
「角…。
──…男とSEXできて嬉しいか?」
「ッ…」
先生は冷ややかな笑みを浮かべた。
なにを言われたのか
理解できたのに、
頭が真っ白になって処理しきれない。
そんな俺の反応を逃さないように
細くなった目で見据えてくる。
俺の性癖を知っている先生は
こともあろうか、
突然暴露したのだ。
「良かったじゃないかぁ、角。
先生は安心したぞ。
男とずっとSEXしたかったんだろう?
先生に話してくれたよなぁ…。
男とSEXするにはどうすればいいのかって。
自分は男しか好きになれないから、
しかも掘られたい方だから
SEXしたくて堪らないって。
念願の夢が叶ったじゃないか。
あー良かったぁ。
良かったなぁ、角。
デートの邪魔して悪かったな。
じゃあ先生は忙しいからさ。
バイバイ」
先生が軽く手を振って、
俺たちの前から去っていく。
凍てつく冷気が肌を撫でた。
「っ…」
終わった。