第25章 一度だけ *
アダルトビデオは嘘ばっかりだ。
ベッドが激しく軋むほど
気持ち良さそうに喘いでいたから
それが最高の快楽だと思っていた。
けど、実際は全然違う。
「せん、せ……っ…」
お尻に入っているモノは感じるけど
それが痛いのではない。
突きあげるときの反動。
先生は理性を忘れたように
がつがつ間髪なく打ち込んできて
奥歯を噛みしめてないと腰に響く。
骨まで響いて、砕けそうなほどに。
「せん、せ」
「ああっ、いいぞ。
お前の締まったケツは最高だ…っ」
「っ…」
先生はがむしゃらに打ち付けてくるだけ。
射精するという目標を達するために。
なんだか無性に虚しくなった。
一度さきに達してしまったからだろうか。
妙に頭が冴えていて
熱に溺れきれない自分の熱量に
苛立ちさえ覚えてしまう。
先生の顔が見えない。
先生の顔が見たい。
先生とキスがしたい。
もっと愛し合いたい。
「ああ、もうイきそうだ……っく」
ああそっか。
先生には、大切な恋人がいるんだっけ。