第3章 高熱
着替えさせた角を
ベッドに寝かせること数十分。
(…寝苦しそうだな…)
マスクをつけているせいか、
それとも高熱のせいか、
薄っすらと眉間に力が入っている。
「…前髪…、
切ればいいのに…」
冷えピタを貼りつけた額。
前髪は汗ばんで濡れている。
トイレで寝癖を直してやったことを思い出し、
指で梳くように撫でていく。
「あ…。
俺も、飯食ってなかった」
妙に腹が減るなと思ったら、
自分は食べていなかったことを思い出す。
「………もう少し、見ていってやるか」
角の寝顔を視界にとどめ、
数秒考える。
顔色は少し戻った。
だがしかし、
その寝顔に呼び止められている気がして、
残りの具材で自分の夕食を作ったのであった。