第21章 合コン
なにも触るなと念を押し、
キーロックを開ける。
「おぉ…。物置けないくらい狭いな!」
「これでも十分暮らせていけるんだ。
もう十分だろ。帰ってくれ」
「見せてくれてサンキューな!
合コンもはんば強引だったけど
参加してくれて嬉しかった!
んじゃ、邪魔したなっ」
爽やかな笑顔とともに
早々に帰っていく。
「…じゃ」
なんだよ。
結局何がしたいんだよ。
なに期待してたんだよ。
本当にすぐ帰んのかよ…。
…帰んなよ。
けれど俺の心の声なんて聞こえてなくて、
外に待たせていたタクシーが
窓の外から過ぎ去るのが見えたのだった。