第19章 戻りたい
中高一貫校ではなく、
成績ともに優秀で選択肢が多かったから
どこの高校に入ろうか結構迷った。
学科重視か
雰囲気重視か
進学実績重視か。
都内の中から複数校考え、
見学や説明会にも色々足を運んでみた。
兄貴の通った高校も候補にあがったが
のびのび満喫したかったから
雰囲気重視で志望校を決定した。
(推薦入試だったからな。
…どんな奴が来るんだろ)
真新しい制服をきて電車に乗り込むと
一気に注目を集める。
俺は身長が伸びるのが早かったから
高校1年生で178㎝。
中学では兄貴の彼女と寝たりして
面倒をかけてしまった。
今度こそ
自分が好きになった相手と
はじめて彼女を作ってやろうかと
少々企んでいた。
(1年1組、中学んときも1組だったな。
出席番号2番も同じ。
阿部に…、槍木?…ヤリって読まないのか)
クラス案内の掲示板で
割り振られた初めてのクラスを確認する。
前後に座る男子生徒の名前を覚え、
踝を返すと。
「あっ、あの」
「ん?」
ボブカットの艶めいた黒髪の女子。
小ぶりの鼻で可愛らしい声。
黒目も大きくて…、
外見のレベルは高め。
「何組だったかなって…。
あっ、その前に自己紹介しなきゃだよねっ」
「俺、1組の牛垣。よろしく」
軽め愛想を振りまく。
学校に来てから何人目だろう。
途中から数えることも止めてしまい、
とりあえず自分のクラスに向かって行った。