第3章 高熱
結局、納得いく答えまで
たどり着かなかった。
「まあ、一番は気紛れでしょ。
…俺だって、
寝癖なおされたら恥ずかしいもん」
「ああそうだな。
ユウは見た目重視だからな」
「性格もちゃんと加味してます~」
「それはどーだか」
酔っぱらって顔が赤くなる親友。
ただの気紛れ。
そう考えるようになったら、
悩んでいたことが少しずつ晴れた気がする。
「顔赤い。
家まで着いて行くか?」
「だいじょーぶです。
タクシー乗ってかえりまーす」
飲み過ぎたユウは
足元がおぼつかなくなっている。
手配したタクシーに乗せ、
「ああ…。運転手さんに迷惑掛けんなよ。
じゃあな。おやすみ」
「まったね~」
へらっと垂れ目を下げて、
手を振ったままタクシーが走りだした。