第16章 清算
朝になり、
ベッドで寝れる気がしなくて
ソファーの上で目覚める。
綺麗に片付けられたキッチン。
朝食を適当に作って胃袋におさめ、
スーツに着替える。
視線は向くものの
一歩として踏み出せない佑都の部屋扉。
…佑都は、俺の子じゃなかった。
出迎えてくれる笑顔も
慕って抱きつく腕も
たまに驚くようなことを口にする声も
すべて俺へ宛てられたものじゃない。
「惨めだな…」
ヘアセットをしようと鏡の前に立つと
やつれたようにも見える顔色。
外で暗い顔はしてられない。
すー…っと息を吸って気持ちをリセットし、
「よし。」
会社へ向かったのであった。